KWサスペンションのこと シリーズ編 「HAS / DDC」

電子制御サスペンションとKWの対応力

近年、特に高グレード車になるほど電子制御サスペンションの標準装備が当たり前になってきました。これは国内外問わずの流れですが、海外ではグレードによって電子制御がオプション扱いのケースも多く、選べる幅が広いのが実情です。

しかし、日本では「電子制御が最初から付いてくる」仕様が主流。すると、「サスペンションを変えたい!」という方にとっては、電子制御サスペンションが“無用の長物”になってしまうことも…。

とはいえ、「じゃあ電子制御なんていらないよ」と切り捨てるのは、ちょっともったいない話です。

電子制御サスの進化はすごい

最近の電子制御サスペンションは、ただの「コンフォート/スポーツ切り替え」だけじゃありません。
中にはスポーツプラス、サーキット、ウェットといった細かなモード選択が可能なモデルまで登場しており、その性能はどんどん進化しています。

そんな優れた機能が最初から標準で付いているのに、取り外すのはちょっと気が引ける…。
この気持ち、非常によくわかります。

アフターマーケットには逆風? いえ、KWは違います!

こうした「電子制御標準化」の流れは、我々アフターマーケットのサスペンションメーカーにとってはなかなかの難題。

「一大事だ!」なんて言いながらも、KWはその変化を前向きに捉え、きちんと対応モデルを展開しています。

今回は、その代表的な2つのシリーズをご紹介しましょう。

HAS(Height Adjustable Spring)

まずはご存じの方も多い、HAS(ハイトアジャスタブルスプリング)。

名前の通り、車高調整機能付きのスプリングキットです。
つまり、ダンパー(ショックアブソーバー)は純正のまま使い、スプリングだけでローダウンができるというスグレモノ。

「KWって何でもかんでも車高調整つけたがるよね(笑)」と言われることがありますが、その通りです(笑)。
だって、ちょっとだけでも下げたいじゃないですか!
見た目がカッコよくなるし、車体も安定するし、良いこと尽くしです。

HASのメリット

  • 純正電子制御もそのまま使えちゃう
  • 車高調機能で、前後の車高バランスを整えられる
  • バランスが整うと、思わず「俺の車、超カッコいい!」ってなる(笑

さらに、純正ダンパーを活かすという特性上、ストロークバランスが非常に重要になります。
純正の動きを考慮しない極端なローダウンは、見た目だけで中身が不快な乗り心地になる危険もあります。
つまり、HASは限界までローダウンするのが目的ではなく、それこそバランスの取れたダウン量を望むユーザーのための究極のプラスワンということになります。

バンプラバーにも注目!

実はこのHAS、ほとんどの製品にKW製の専用バンプラバーが付属しています。

バンプラバーまで考慮されているローダウンスプリングは、実はそう多くありません。
KWではこのバンプラバーにも独自のテクノロジーを施しており、たとえダンパーがノーマルでも、「KWらしい乗り味」を少しでも再現できるよう設計されています。

これ、サスメーカーとしてはけっこう大事な使命なんです。

HASはSTブランドにも展開中!

しかもこのHAS、今ではKWの兄弟ブランドSTにも続々展開されています。

もしKWで設定がなくても、STにある可能性があります。
ぜひSTのラインアップもチェックしてみてください。

DDCシリーズ(Plug&Play / ECU)

さて、続いてはDDCシリーズ。
こちらはKWが誇る電子制御対応サスペンションの本命です。
ご存知の方も多いと思いますが、DDCにはPlug&playとECUというシリーズがあります。

DDC Plug&Play

その名の通り、差し込んで使える=Plug&Play。

つまり、純正の電子制御サスペンション機能をそのまま生かしながら、サスペンション本体だけをKWに換装できるという優れた製品です。

  • 純正の便利な電子制御機能は残したい
  • でも、純正の乗り心地やセッティングには満足していない
  • ダンパーがヘタってきたけど、どうせ買い換えるならKWで乗り心地もグレードアップしたい

こんな人にオススメです…が、正直、安くはありません。
電子制御に対応する構造は複雑で、開発コストも高いことが理由になります。ですが、そのぶん得られる満足度は大きい。

4ポストでの豊富なデータをもとに開発されており、乗り心地も性能も非常に高水準。KWらしいバランスがしっかり感じられる仕上がりに加え、ローダウンが可能。
もちろん純正機能がそのまま使えて、モニター上での切り替えも可能(※細かい調整は不可)な、超優秀な製品が DDC Plug&Playというわけです。

ご要望が多いポルシェ向けへの展開も、もしかしたら近いうちに…?(これは私も楽しみにしてますが、いつになるかはまだ分かりません…笑)

DDC ECU

そろそろ長くなってきたので、最後に少しだけDDC ECUのお話を。

こちらは「電子制御が付いてない車に、電子制御機能を追加できる」というシリーズです。
つまり、電子制御が「あと付け」できる!
まさにPlug&Playの逆バージョンですね。

  • 自分好みに減衰をカスタムできる電子制御のあと付け
  • 車内からモード切り替えができる
  • Appleアプリ連携で詳細なセッティングが可能

こんな特徴をもつDDC ECUですが、
私が実際に使ってみて本当に気に入った製品です。

道路やシーンに応じて複数の設定を使い分けられる、まさに“カスタム好き”のためのアイテム。
ベストなセットアップが見つかれば、「もうこれ以上のサスペンションは無い」と思えるほどの完成度です。

ただし…

対応車種はまだ少なめですし、価格はやっぱりそれなりにします。。。
ですが、適合があればぜひ一度試していただきたい、そんなサスペンションです。

最後になりますが、電子制御が前提の車が増えていくこれからも、KWはアフターマーケットとしての可能性を決して諦めません。
純正では味わえない“KWならではの乗り味”を、これからも提供し続けていきます。